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本書はとてもわかりやすく、鍼灸ファンにとっても有意義な本です。下記記事でご興味を持った方、ぜひ本屋さんやネットショップ、図書館などでお手にとり、ご覧ください。
YNSA(山元式新頭針療法)の主な効果
- あらゆる痛みが消える
- 手足のしびれがとれる
- 麻痺が治る
- パーキンソン病の震えが止まる
- 耳鳴りやめまいが治る
- うつ病の症状がとれる
編集(まえがき)
1. 奇跡の治療法「YNSA」との出会い
編集担当者である私は、偶然にも、どのような痛みでも消し去り、長年動かなかった麻痺さえも治すという驚異的な治療法「YNSA」が日本に存在することを知りました。この治療法は、パーキンソン病の震えを止め、リウマチで固まった手を開かせるなど、原因不明の症状やうつ病にも効果を発揮します。
2. 世界では常識、日本では知られていない現状
驚くべきことに、日本ではまだあまり知られていないこのYNSAは、ドイツをはじめとする世界14カ国以上で当たり前のように医療に取り入れられ、多くは保険診療の対象となっています。世界中の数多くの人々が、今この瞬間もYNSAによって救われています。
3. 創始者・山元敏勝医師との出会い
私が「YNSA」の名を知ったのは、ある病院長への取材がきっかけでした。院長は山元敏勝医師を「ゴッドハンド(神の手)」と絶賛し、海外の医療界でその名を知らない者はいないと語りました。調査を進めると、山元医師がYNSAで数百万人の患者を救ってきた事実を知り、衝撃を受けました。6年間寝たきりだった麻痺患者が数ヶ月で食事をとれるまでに回復した事例もあるほどです。
4. 本書を届ける意味
痛みや麻痺に苦しむ人々が、この治療法の存在を知れば救われるはずだという強い思いから、宮崎の山元先生を訪ね、本書の出版をお願いしました。世界が注目するYNSAとはどのような治療法なのか、なぜ奇跡のような効果が生まれるのかを、この本を通じて多くの人々に知っていただきたいと思います。
はじめに
1. 医師を志した原点
私は宮崎県日南市の農家に生まれ、幼い頃から、痛みに耐えながら働く大人たちの姿を見て育ちました。「この痛みから人々を解放してあげたい」という思いが、医師になる道へと私を導きました。アメリカ、ドイツでの10年間の医師経験を経て、1966年に故郷で山元医院(現在の山元病院)を開院しました。
2. YNSAの誕生と実績
私の考案した「YNSA(山元式新頭針療法)」は、子どもの頃からの願いであった「痛みを治す」治療法となりました。約50年間で、のべ150万人以上の患者さんの痛みや不調を改善してきました。その効果は痛みにとどまらず、麻痺の改善においては海外で「麻痺を治せるのはYNSAしかない」と言われるまでになっています。
3. 世界が認めたYNSA
1973年に日本の学会でYNSAを発表後、海外でもその高い治療効果が注目され、現在ではドイツ、ブラジルを中心に多くの国で医療として導入されています。ブラジルでは政府による専門病院が、ハンガリーの大学にはYNSAの研究所が設立されるなど、世界中で大きな効果を発揮しています。多くの国では保険診療の対象ともなっています。
4. 日本の医療界と本書の目的
残念ながら、新しいものに消極的な日本の医療界では、海外に比べてYNSAの認知はまだ進んでいません。 これまで医療従事者向けの専門書しか書いてきませんでしたが、「痛みや麻痺に苦しむ一般の方々にもYNSAを知ってほしい」というソレイユ出版からの申し出を受け、筆を執ることにしました。「人間の体は、どんな痛みや麻痺であっても改善する力を持っている」という希望を、この本を通じて皆様にお届けできれば幸いです。学術的な内容を排し、分かりやすさを第一に執筆しました。この本が、皆様の笑顔を取り戻すきっかけとなることを心から願っています。
YNSAとは? – 頭にある「スイッチ」で体の不調を治す治療法 💡
YNSA(山元式新頭針療法)は、医師の山元敏勝氏が発見した、
頭皮にある特定のポイント(点)を針で刺激することで、体の様々な痛みや不調、麻痺などを改善する日本発の画期的な治療法です 。
山元医師は、この仕組みを**「電気のスイッチ」
にたとえて説明しています 。例えば、腰が痛いのは「腰の部屋の電気がついたままになっている」状態だとします。YNSAでは、腰を直接いじるのではなく、壁にある
「腰につながるスイッチ」**、すなわち頭にある特定のポイントを探し出し、そこを針で刺激して電気を消す(=症状を改善する)という考え方です 。
YNSAはどんな症状に効くの?
この治療法は、驚くほど幅広い症状に対応できます。
- あらゆる痛み: 長年の農作業による腰痛、痛くて上がらない腕、神経痛、椎間板ヘルニアなど、様々な痛みを和らげます 。
- 体の不調: 原因不明のめまい、激しい耳鳴り、うつ病のつらい症状なども改善の対象となります 。
- 麻痺や難病: 最も特徴的なのは、脳梗塞の後遺症による手足の麻痺や、パーキンソン病の震えといった、現代の医療でも治療が難しいとされる症状にも優れた効果を発揮することです 。リハビリに長い年月がかかるとされる麻痺が、短期間で改善するケースも少なくありません 。
どうやって発見されたの? – 偶然が生んだ奇跡 ✨
YNSAの発見は、1966年のある偶然の出来事がきっかけでした 。
山元医師が脳梗塞で左半身が麻痺した患者さんを診察中、
髪の生え際のある一点に触れたところ、全く動かなかったはずの左腕がピクッと動いたのです 。その場所は、従来の中国式鍼治療のツボとは全く違う場所でした 。
この「奇跡」をきっかけに、山元医師は「頭には体の各部分と直結するポイントが他にもあるはずだ」と考え、長年にわたる何十万人もの患者さんの協力のもと、頭の「スイッチ」の地図を一つひとつ作り上げていきました。
YNSAの3つの大きなメリット
- 驚くほどの即効性 🚀 痛みがその場でピタッと止まったり、全く動かなかった手が上がるようになったりと、治療の直後に効果が現れることが多く、患者さんからは「魔法のようだ」と驚かれます 。
- 副作用が一切ない ✅ 痛み止めの薬が引き起こす眠気や胃の不快感、抗うつ剤の副作用のようなものが一切ありません 。体に負担をかけずに、症状の改善だけを目指せる安全な治療法です。
- 世界が認める効果 🌎 日本ではまだ広く知られていませんが、医療大国ドイツやブラジルをはじめ世界14か国以上で正式な医療として導入されています 。多くの国では保険診療の対象となっており、その効果は世界的に認められています 。
YNSAは、なぜ痛みや不調、麻痺まで改善できるのか
YNSA(山元式新頭針療法)が、なぜこれほど多様な症状に劇的な効果をもたらすのか。その秘密は、頭部にある「YNSAの点」と、体が発する「サイン」を的確に捉える独自の診断・治療法にあります。
体の異常を知らせる「アラームポイント」 🚨
YNSAの治療の根幹は、**頭部にある特定の「点」**にあります 。これらの点は、普段は何ともない皮膚ですが、関連する体の部位や内臓にトラブルが起きると、まるで警報が鳴るかのように明確な変化を示します 。
- 変化の種類: 触ると痛みを感じる、赤くなる、ザラザラ・デコボコする、小さなビーズのようなしこりができる、などです 。
これらの変化は、
体が「ここを治療してほしい!」と発しているサインと言えます 。
重要なのは「症状」ではなく「原因」の場所
YNSAの最大の特徴は、
症状が出ている場所(例:腰)ではなく、その根本的な原因となっている場所(例:首や脳)に対応する点に変化が現れることです 。例えば、腰痛の治療であっても、原因が首にあれば、YNSAは首に対応する頭部の点に針を打ちます 。これにより、従来の鍼治療とは異なり、一人ひとりの原因に合わせたオーダーメイドの治療が可能になります 。
頭だけじゃない!首にも現れる診断の決め手「首診」 🔍
YNSAの診断精度を飛躍的に高めたのが、
首にある反応点の発見です 。交通事故で首を痛めた高校生の治療中に偶然発見されたこれらの点は、特に内臓の不調に対して、頭部よりもハッキリとした反応を示します 。
この首の点を使った診断法を**「首診(くびしん)」**と呼びます 。
首診の驚くべき特徴
首の反応点は、
適切な治療が行われ症状が改善すると、その場でスッと消えるという非常にユニークな特徴を持っています 。これにより、治療者は「まだ原因が残っているか」「治療が完了したか」をリアルタイムで正確に判断できます 。この首診の導入により、YNSAはさらに確実で高い効果を持つ治療法へと進化したのです 。
なぜ針は効くのか?脳科学が解明した6つの効果 🧠
近年の脳科学の進歩により、YNSAで使う「針」の効果が科学的に証明されつつあります 。MRIを用いた研究では、
針の刺激が脳、特に生命維持の中枢である「脳幹」や自律神経をコントロールする「視床下部」を活性化させることが分かっています 。
針の刺激によって脳が引き起こす主な効果は以下の6つです。
- 痛みを抑える物質を放出 「脳内モルヒネ」とも呼ばれるエンドルフィンを脳から放出させ、強力に痛みを和らげます 。
- 痛みの情報をブロック 痛みのある場所から脳へ情報が伝わる神経の通り道を遮断し、脳に「痛み」を感じさせなくします 。
- 自律神経のバランスを調整 心身を活発にする「交感神経」とリラックスさせる「副交感神経」のバランスを整え、原因不明の体調不良(不定愁訴)を改善します 。
- 血流を改善 硬くなった筋肉を緩め、血流を促進することで、痛みの悪循環を断ち切ります 。
- 免疫力を向上 ウイルスや細菌と戦う免疫細胞の働きを活性化させ、病気にかかりにくい体を作ります 。
- 自己治癒力を高める 人間が本来持っている、傷や病気を自分で治す力「自己治癒力」を最大限に引き出します 。
西洋医学との融合で、より安全で確実な治療へ
YNSAは、その高い治療効果ゆえに、
治療前の正確な診断を非常に重視します 。例えば、腰痛の原因ががんや内臓疾患である可能性を見逃さないために、レントゲンやMRIといった西洋医学の検査を必ず行います 。東洋医学の知恵と西洋医学の診断技術を融合させることで、YNSAはより安全で効果的な治療を実現しているのです
第3章 YNSAによって、つらい症状が改善された14の実例
この章では、YNSA治療によって劇的な改善が見られた14の具体的な症例を紹介します。痛み、麻痺、原因不明の不調など、様々な悩みを抱えた患者さんたちが、どのようにして回復へと至ったのか、その過程を詳しく見ていきましょう。
1. 顎関節症:突然開かなくなった口が、たった1回の治療で改善 😲
15歳の中学生の女の子が、突然口が開かなくなる「顎関節症」を発症しました 。指が1本入るのがやっとで、食事も会話もままならない状態でしたが、YNSAによる診断で原因と考えられる脳神経のポイントを発見。そこに針治療を行ったところ、
治療直後に口が大きく開くようになり、痛みや違和感も完全に消失しました。
2. 頭痛・めまい:4年間続いた原因不明の頭痛と不眠が解消 😌
40代の女性が、4年間も原因不明の頭痛とめまいに悩まされていました 。どこの病院で検査をしても異常が見つからず、不安から不眠にもなっていました。YNSAで頭頂部にある大脳と小脳のポイントに治療を行ったところ、
初回で痛みがすーっと引くのを実感。その後も週1回の治療を8回続けた結果、長年の頭痛は完治し、夜もぐっすり眠れるようになりました 。
3. 頚椎狭窄:激痛で上がらなかった腕が、2日で上がるように 💪
首の骨(頚椎)がずれ、神経を圧迫する「頚椎狭窄」により、左腕に激痛が走り、全く上がらなくなってしまった50代の女性 。痛みで仰向けに寝ることもできませんでした。YNSAで頚椎と内臓に関連する5つのポイントに針を刺したところ、腕が少し上がるまでに回復 。驚くべきことに、
治療の翌日には、笑いながら両腕を軽々と上げて見せるほどにまで改善していました。これは、YNSAの効果が治療後、時間をかけて現れる良い例です 。
4. 乳がん術後:手術で動かなくなった腕が、わずか2週間で回復 ✨
乳がんの手術で左乳房を切除した後、左腕が胸の高さまでしか上がらなくなってしまった60代の女性 。生活にも支障が出ていました。YNSAで腕と内臓に関連する3つのポイントを治療したところ、
20分後には腕に動きが現れ、1週間に2回の治療を続けた結果、わずか2週間で腕が真上まで上がるまでに完全に回復しました。症状が出てからすぐに治療を開始したことが、この早い回復につながりました 。
5. 腰痛:歩行不能になった突然の激しい腰痛が、1回で歩けるように 🚶♀️
突然の激しい腰痛で歩けなくなり、車椅子で来院した46歳の女性 。痛みで立つことすら困難な状態でした。YNSAで腰痛の原因となっていた頚椎のポイントに針を刺し、30分置いた後、
痛みが劇的に改善し、車椅子からスッと立ち上がって歩けるようになりました。このケースでは、この1回の治療で症状が完全に落ち着きました 。
6. 耳鳴り:3年間悩み続けた激しい耳鳴りが、1回の治療で消失 👂
3年間、激しい耳鳴りに苦しんでいた65歳の女性 。頭痛や不眠を伴うつらい日々を送っていました。YNSAには特定の症状に効くポイントもあり、「耳鳴り治療点」に針を刺したところ、
たった1回の治療で、長年続いた耳鳴りがピタッと止まりました 。再発への恐怖心から、現在も予防のために通院を続けていますが、耳鳴りは起きていません 。
7. うつ病:5年間の苦しみから解放され、抗うつ剤を減量 😊
仕事のストレスから5年間「うつ病」と診断され、抗うつ剤を服用し続けていた38歳の男性 。薬の副作用を懸念し、断薬を望んでいました。YNSAでうつ病特有のポイントに治療を行うと、
すぐに「とても気持ちがいい」と表情が一変 。治療を継続することで、抗うつ剤を飲まなくても過ごせる日が増え、服用する際も半分の量にまで減らすことができました 。
8. 関節リウマチ:香港から来院、2年間の痛みが数日で改善 ✈️
2年間、「関節リウマチ」による腰の激しい痛みに苦しんでいた50代の女性が、YNSAの体験記を読み、香港から来院されました 。
1回目の治療で痛みは大幅に改善し、翌日の2回目の治療で痛みは完全に消失 。また、YNSAはリウマチによる指の硬直にも効果的で、足の特定のポイントを刺激すると、固まった指がその場でパッと開くこともあります 。
9. 顔面麻痺:ウイルス感染による顔の麻痺が、3か月でほぼ正常に 😄
ウイルス感染が原因で顔の左側に麻痺が起こり、目が閉じられず、口元も硬直してしまった60代の女性 。YNSA治療を週1回のペースで続けたところ、
8回目の治療で目が閉じられるようになり、3か月後には顔の歪みもほとんどなくなり、ほぼ正常な状態にまで回復しました 。
10. 全身麻痺(脳梗塞):6年間寝たきりだった女性が、8か月で食事できるように 🍽️
6年前に脳梗塞で倒れ、両手足が麻痺し、話すことも困難だったドイツ人の女性 。YNSAの治療を開始すると、すぐに手足にわずかな動きが見られ、入院治療を継続。
8か月後には、自分で体を支えて座り、左手で食事ができるまでに劇的に改善しました。驚くべきことに、脳のMRI画像には変化がなく、YNSAが脳の持つ他の機能を引き出し、改善を促したと考えられます 。
11. 全身麻痺(ポリオ):4歳で麻痺になった少女が、後に弁護士として活躍 👩⚖️
ポリオワクチンの副作用で全身麻痺となった4歳の女の子 。当初は体が豆腐のようにぐにゃぐにゃな状態でした。YNSAの治療を開始すると、
1日1本の針治療でも効果は著しく、8か月後には補助具をつけて一人で立てるまでに回復 。歩行に障害は残ったものの、彼女は後に弁護士として活躍しています 。
12. 全身麻痺(ウイルス感染):歩けなかった少女が、歯科衛生士に 🦷
ウイルス感染により両手足が麻痺し、学校も休学していた小学1年生の女の子 。YNSA治療を開始後、2か月間は全く反応がありませんでしたが、
3か月目から突然反応が出始め、10か月後には病院を走り回れるほどにまで完全に回復しました。現在、彼女は歯科衛生士として活躍しています 。
13. 半身麻痺(脳梗塞):発症2日後に治療を開始し、3か月で走れるように 🏃
脳梗塞を発症してわずか2日後にYNSA治療を開始した60代の男性 。当初は左半身が完全に麻痺していました。
治療初日から指に動きが見られ、毎日治療を続けると、1か月後には歩けるようになり、3か月後には走れるまでに回復しました 。発症後、いかに早く治療を始めるかが重要であることを示す症例です 。
14. パーキンソン病:30年間続く症状の進行を完全に止める ✋
30年間パーキンソン病を患い、体の震え(振戦)に悩まされていた60歳の女性 。YNSAにはパーキンソン病特有の治療点があり、そこに針を刺すと、
その場で手の震えがピタリと止まりました 。症状は1週間ほどで再発するため継続的な治療が必要ですが、この方は30年間治療を続けることで、
病気の進行を完全に止め、90歳になった今もお元気に過ごされています 。
はい、承知いたしました。ご提示いただいた文章を、より詳しく分かりやすく校正し、整理しました。
第4章 YNSAは、こうして生まれた!
偶然が重なり生まれたYNSA治療法
YNSA(山元式新頭針療法)は、患者さんの治療の中で起きた数々の偶然がきっかけとなって生まれました。しかし、今振り返ると、私の幼少期の経験、医師になってからの学び、そしてニューヨークやドイツの医療現場で得た知識と技術、その一つ一つが必然的につながり、YNSAの確立へと至ったのだと感じています。
ここでは、一見すると偶然に見える出来事が、どのようにして必然の軌跡を描き、YNSAが誕生したのかをお話しします。
医師を目指した原点:痛みに苦しむ人々を救いたい
農家での子供時代
私は宮崎県日南市の農家に7人兄弟の末っ子として生まれ、学校から帰るとすぐに畑仕事を手伝う毎日でした。農作業は体に厳しく、私はよく「なんでこんなことをしないといけないのか」と座り込んでいました。そんな私の目に映っていたのは、腰の痛みに顔をしかめながら黙々と働く大人たちの姿でした。
母は、私が仕事をさぼっても決して叱りませんでした。その優しさが、かえって私に「自分が休んでいてはいけない」と思わせ、再び仕事に打ち込む力となりました。そして同時に、**「この人たちの痛みをどうにかして和らげてあげたい」**という強い思いが、私の心に深く刻み込まれていったのです。
医師への決意
農学校に進みましたが、農業への興味は湧きませんでした。「医者になろう」と固く決意したのは、農家の厳しい現実を見たからです。「農家は夜9時まで働かないと夕食にありつけない。でも、医者なら5時には仕事が終わるはずだ」という単純な動機もありました。
もちろん、現実はそんなに甘くありませんでした。実際に医師になってみると、食事は夜9時過ぎが当たり前で、農家の方々の方が早く夕食を食べている始末です。しかし、この話は冗談半分で、私の根底にあったのは、やはり幼い頃から見てきた痛みや病に苦しむ人々を助けたいという一心でした。甥を肺炎で亡くした経験も、その思いを一層強くしました。
世界での学びと経験
アメリカでの麻酔医時代
日本医科大学を卒業後、当時まだ珍しかった「麻酔学」を学ぶためアメリカへ渡り、ニューヨークのコロンビア大学聖ルカ病院で麻酔科医として働き始めました。そこは喧嘩や銃による外傷患者がひっきりなしに運ばれてくる、まさに救命救急の最前線でした。緊急手術に次ぐ緊急手術で、眠る暇もないほど多忙な日々でしたが、この経験が私を医師として大きく成長させてくれました。この病院で、後に生涯のパートナーとなる妻(当時、外科手術専属の看護師)と出会いました。
ドイツでの産婦人科医時代
結婚後、ドイツ人である妻の故郷へ移り、ケルン大学病院で働き始めました。当時、その病院にはまだ麻酔科がなく、私が持つ麻酔技術は地域の医療水準の向上に大きく貢献できたと感じています。
ドイツで私は産婦人科医となりました。母と子の命を一度に守ることができる産婦人科の仕事には、特別なやりがいを感じていました。麻酔医としての知識と技術を生かし、仮死状態で生まれてくる赤ちゃんの呼吸を助け、多くの小さな命を救うことができたのは、医師としての大きな喜びでした。
YNSA誕生への道のり
帰国、そして開業
1966年、私は妻と共に故郷の宮崎県日南市へ戻り、「山元医院」(現在の山元病院)を開院しました。長い間故郷を離れていましたが、多くの地元の方々が「先生」と頼ってきてくれました。その多くは、長年の農作業で体のあちこちに痛みを抱える高齢者の方々でした。アメリカで学んだ「神経ブロック」(麻酔薬の注射で痛みを和らげる治療法)などを駆使し、「なんとかしてこの痛みから解放してあげたい」という子供の頃からの夢を、ようやく実現できるようになったのです。
「針」との偶然の出会い
ある日、神経ブロック注射の際に、薬を入れ忘れて滅菌水だけを注射してしまうというミスを犯しました。患者さんは激しい痛みを訴えましたが、不思議なことに、その痛みはすぐに引き、さらには元々治療しようとしていた部位の痛みまできれいに消えてしまったのです。この現象から、私は東洋医学の「鍼(はり)」や「経絡(けいらく)」の可能性に気づき、独自に研究を始めました。これが、YNSAで針を用いるきっかけとなった、決定的な出会いでした。
西洋医学と東洋医学の融合
西洋医学を基礎としながらも、鍼治療という東洋医学の考え方を取り入れることで、治療の幅は大きく広がりました。さらに、副作用がなく患者さんの体に負担の少ない**「針麻酔」**を無痛分娩や外科手術に応用し、2000例以上の手術を成功させました。
YNSAの「点」の発見
YNSAが確立される最後のきっかけもまた、一人の患者さんとの出会いでした。脳梗塞の後遺症で半身が麻痺したその患者さんを診察中、髪の生え際のある一点に触れたとき、全く動かなかったはずの麻痺した腕が、わずかに動いたのです。
この衝撃的な体験を元に、私は頭部にある、体の各部位とつながる治療ポイント(=点)を次々と発見し、それらを体系化して、全く新しい治療法「YNSA」を確立したのです。
YNSAの進化と広がり
数々の発見と治療法の進化
YNSAは、最初の「点」の発見から現在に至るまで、常に進化を続けています。
- 基本点・感覚点(1967年~): 手足や目・鼻・口に対応する基本的な点を発見。
- 脳点(1971年~): 大脳・小脳など、脳の部位に対応する点を発見。
- Y点(1975年~): 心臓・胃腸など、内臓に対応する点を発見。
- 首診(1987年): 首で診断を行うことで、治療の精度を飛躍的に向上させる診断法を発見。
- 脳神経の点(2005年): 雨上がりのクモの巣から着想を得て、視覚や聴覚などを司る12の脳神経に対応する点を発見。
これらの発見により、治療効果はより高まり、改善できる症状の幅も大きく広がりました。
キャベツが証明した針の効果
YNSAを発表した当初、「効果は自己暗示のようなものではないか」という疑いの声もありました。そこで私は、精神的な作用が働かない植物で実験をしました。庭に植えた4つのキャベツのうち2つだけに毎日針を刺し続けたところ、針を刺さなかったキャベツが直径15cmほどにしか育たなかったのに対し、針を刺したキャベツは直径30cm以上の巨大なサイズに成長したのです。この実験は、針の効果が精神的なものではないことを明確に示し、YNSAが科学的に評価される大きなきっかけとなりました。
このように、YNSAは私の人生における様々な経験と、患者さんとの出会いという「偶然」が重なり合って生まれた、まさに**「必然」**の治療法なのです。
第5章:あきらめなければ、痛みも麻痺も必ず治る!
この章では、YNSAが日本の医療界でどのように認知され、世界中の医師たちに受け入れられていったかの経緯、そしてこの治療法の未来と、患者が持つべき希望について解説します。
日本の医療界の変化:海外からの逆輸入という現象 🌍
かつて日本では、YNSAはほとんど知られていませんでした。「頭に針を打つ」と聞いただけで拒否反応を示す医師もいたほどです 。しかし、
約10年前から状況は一変しました。
きっかけは、海外の学会などに参加した日本の大学教授や医師たちが、現地でYNSAの高い効果を目の当たりにしたことでした 。日本では馴染みのなかった治療法が、海外で高く評価されている事実を知り、多くの問い合わせが来るようになったのです 。
これはまさに、**海外からの「逆輸入」**という形でYNSAが日本に広がり始めた瞬間でした 。今では日本の大学での講義も満員となり、かつて海外の講義で見られたような、熱意ある医師や医学生で会場が溢れる光景が日本でも見られるようになりました 。
世界へ、そして未来へ:YNSAの普及と継承 👨⚕️👩⚕️
YNSAを学びたいという声は国内外から集まり、2007年から日本で
定期的なセミナーを開始しました 。宮崎で開催されるセミナーには、医師や鍼灸師だけでなく、歯科医師や獣医師までが参加しています 。YNSAは常に進化しており、新しい発見があるため、治療効果を高めようと
30回以上も参加する熱心な医師もいます 。
現在、このセミナーには
世界30か国近くから、のべ1000人を超える医療従事者が集まり、技術を学んでいます 。また、多忙な医師のために
1日単位で学べるセミナーも開始し、脳神経外科など、さらに専門的な分野へも広がりを見せています 。
YNSAの技術を習得するには、
体の微細な変化を捉える経験と、諦めずに探求する心が不可欠です 。日本でもYNSA学会が設立され、現在300名以上の会員が情報を共有し、技術を磨いています 。彼らがこの治療法を受け継ぎ、さらに進化させていくことが、私の大きな期待です 。
「1本の針で麻痺を治す」という夢と、人体の可能性 ✨
YNSAを開発して以来、私が抱き続けてきた夢は**「1本の針で麻痺を治す」**ことです 。そして、その夢は一度だけ現実になりました 。
脳梗塞で右半身が完全に麻痺した患者さんの頭部に、変化を示していた
たった1つの点を見つけ、そこに針を刺した瞬間、動かなかった手足にけいれんが起こったのです 。そして、わずか3日後、その患者さんは普通に歩けるまでに回復しました 。
この奇跡的な回復は、
発症から2日後という非常に早い段階で治療できたことと、患者さんの体が治療点に敏感に反応したことが理由だと考えられます 。
この経験は、YNSAや人体のメカニズムには、まだ解明されていない可能性があることを示唆しています 。私たちの体には、本来**「自分で自分を治療する力(自己治癒力)」
が備わっています 。古代ギリシャのヒポクラテスが言うように、
「人間は誰でも体の中に百人の名医を持っている」**のです 。
YNSAの役割は、その素晴らしい力を引き出す手伝いをすることに他なりません 。
あきらめない心:回復への一番の力 ❤️🩹
2015年、4年前に脳梗塞を発症し、重い麻痺と失語症を抱えた患者さんがニューヨークから来られました 。話すことも歩くこともできず、リハビリの効果も見られなかった状態から、
3か月のYNSA治療で、話せるようになり、支えがあれば歩けるまでに回復したのです 。
症状が出てから4年が経過していても、これほどの回復を遂げたのです 。その回復を支えたのは、YNSAの治療だけではありません。わずかな改善にも喜びを見出し、**前向きになった患者さんの気持ちと、何よりも「あきらめない心」**でした 。
宮崎弁に**「あきらめたら一銭がたにもならん(あきらめたら、何にもならない)」**という言葉があります 。どのようなつらい症状であっても、あなたの体には治る力が備わっています 。大切なのは、その力を信じて、
あきらめないことです 。
あとがき
YNSAは「患者さん」が教えてくれた治療法
「YNSAはどのようにして生まれたのですか?」 これは、国内外を問わず、私が最も多く受ける質問です。その問いに、私はいつもこのようにお答えしています。
「YNSAは、決して私一人が創り上げたものではありません。多くの患者さんたちが、その体をもって私に教えてくれた治療法なのです」
すべては、頭部にある「腕とつながる点」の発見から始まりました 。それをきっかけに、私は体や内臓、脳といった各部位と連動する点が、次々と頭部に見つかっていったのです 。これらの点はすべて、患者さんお一人おひとりの症状と向き合い、その反応を注意深くうかがいながら治療を行う中で発見されていきました 。
患者さんたちは皆、「先生、この痛みを治してください」「先生、この症状をどうにかしてください」と、切実な思いで私を頼って来てくださいました 。その表情からは、「私の頭を使って、新しい点を見つけてください」という、治療への協力と未来への期待がひしひしと伝わってきました 。
長い研究の道のりでは、思うように効果が出せずに、正直何度も「もうやめてしまおうか」と考えたことがあります 。しかし、そんな時でも私を信じ、頼り続けてくださった患者さんたちがいたからこそ、研究を続けることができたのです 。
多くの人々に支えられて
YNSAの発見と発展の道のりは、決して一人では歩めませんでした。
針治療との出会いのきっかけをくださった患者さん 。頭部や首に体とつながる治療点があることを、その身をもって教えてくださった患者さんたち 。そして、私の治療の効果をどこまでも信じ、頼ってきてくださった多くの患者さんお一人おひとりが、私の大切な思い出です 。
幼い頃、畑仕事で体を痛める大人たちを見て「この痛みをどうにかしてあげたい」と願った私の夢は、多くの患者さんたちによって叶えられました 。
さらに、海外でYNSAの普及に尽力してくれる、かけがえのない友人である教授、博士、医師たち 。私の手足となって治療を支えてくれる、病院の親愛なる医療スタッフたち 。そして、60年以上もの間、公私にわたり唯一無二のパートナーとして私を支え続けてくれている最愛の妻、ヘレン 。
この本を通じてYNSAを広く知る機会を与えてくださったソレイユ出版の皆様にも、心から感謝申し上げます 。
これら多くの方々とともに、私の感謝の念は尽きることがありません 。
恩師の言葉
かつて私が「医者になる」と決意を語ったとき、「お前はばかじゃないのか」と言った農学校の先生が、私が医大生になって帰郷した際に、こんな言葉をかけてくれました 。
「実は私も医者になりたかった。君のもとには、お金がなくて治療費の代わりに芋や米を持ってくる患者さんがいるかもしれん。そういう時に決していやな顔をせず、それを受け入れてあげられるだけの度量がなければいけないよ」
私も(2017年時点で)87歳になりましたが、先生のこの言葉は、今でも深く心に響いています 。
2017年 春 宮崎県日南市にて 山元 敏勝
著者紹介:山元 敏勝(やまもと としかつ)
- 経歴: 1929年、宮崎県日南市生まれ 。日本医科大学を卒業後、アメリカのコロンビア大学聖ルカ病院で麻酔医、ドイツのケルン大学病院で産婦人科医として勤務 。1966年に宮崎へ戻り、山元医院(現在の山元病院)を開院 。
- YNSAの開発と実績: 自身が考案した画期的な治療法「YNSA」により、痛みや麻痺をはじめとする多様な症状を改善 。これまでに治療した患者数は延べ150万人を超える 。
- 国際的な評価: その効果は世界的に認められ、「麻痺を治せるのはYNSAしかない」とまで言われるほどです 。ドイツをはじめ世界14か国以上で医療に導入されています 。現在も治療の傍ら、世界30か国近くから招かれてYNSAの講義や指導を精力的に行っており、そのセミナーの受講者数は年々増加しています 。